最近、人工透析の治療をやめるという選択の意思表示をした方の事が話題になっています。
ただ、今回の出来事が、医師の誘導であれば、問題点があります。
また同施設で透析中止が標準を超えた件数であれば、調査が必要であると思われます。
やはり、ここまで大々的に話題にのぼりますと、日本透析医学会も早急に調査し対応をしていくようです。
しかしながら、基本的に医師は診療にあたり、可能な限りの選択肢の提示は行います。
逆に提示しないことが、問題となります。
医師が、透析中止をする選択肢を提示したこと自体には、むしろ当然のことで、責められるべき点ではないです。
確認すべきことは、患者が選択肢の中から意思決定を行うに当たって、十分に本人家族を含めた話し合いが行われたかという点にあります。
透析中止の何が問題点となるか?
基本的な論点となる部分は、
②患者の意思決定に対する判断が適切かどうか?という点
これは、今回の透析治療のみでなく、その他多くの治療行為に関わる問題点でもあります。
さまざまな理由で透析が継続出来ない、透析をやめざるを得ないことがあるのが現実です。
ガイドラインとは何か?強制力は?
ガイドラインとはなんでしょうか?
診療ガイドライン(しんりょうガイドライン、英 Medical guideline)とは、医療現場において適切な診断と治療を補助することを目的として、病気の予防・診断・治療・予後予測など診療の根拠や手順についての最新の情報を専門家の手で分かりやすくまとめた指針である。ガイドライン、ガイド、指針とも呼ばれる。
引用:Wikipedia
とされています。
一般的には、ガイドラインから外れた診療行為が問題と捉えられることが多く、今回もその風潮はありますが、ガイドラインに強制力はありません。
ガイドラインはあくまで、指標であり、現実は指標どおりに行く訳がありません。
それがガイドラインから逸脱することなんて多々あります。
そもそも治療を拒否する方や、通院を自己中断される方にはガイドラインも適応しようがないですから。
患者の自己決定の判断は? 結果論ではないのか?
どこまでが自己決定か?医療では、結果論のみで判断されることが多く、医師側としては困惑する事例が多いです。
患者を説得しなければ、もっとするべきだったという事例もあり、説得して治療をした場合でも、結果が悪い場合、それは誘導されたのだ、自己決定ではなかったと言われる事例もあります。
そもそも、医師が治療にあたり、説得をどこまでするべきか、そもそも説得自体をするべきなのか、疑問を感じることもあると思います。
こういう治療をした場合、しなかった場合、このような結果になる事が多いと示すことはできますが、どれかの選択を説得するという行為には疑問があります。
患者の迷いにどう向き合うか?自己決定と自己責任
命には関わりませんが、眼科でも、治療を受けなければ失明すると伝えても、治療を拒否する方もおられますし、病状が悪化する事を明確に伝えても、それでいいから治療を受けたくないと言われる方もおられます。
そして、病状がかなり悪化した時点で、やはり治療を急遽受けたいと言われる方も、もちろんおられるわけです。
例えば、糖尿病網膜症で、散々治療をおススメしても、治療を受けない、中断される方も沢山おられます。
放置した場合、最終的に血管新生緑内障になり、失明、痛みが出る場合がある事を何度も説明しても、治療を希望せず、最終的に、新生血管緑内障になった時点で、治療を希望されて緊急手術になることもあります。
そしてそれが、土日や休日だとしても、医師として対応しなければなりません。
ルールが大事。曖昧さが問題を生む。
今回のこの報道に関して、医師側の立場ですと、内容がどうであれ、問題点としては一般の方と受け止め方が違うと思われます。
正直なところ、最終的には患者の自己責任という方向にしていただかないと、医師としては治療が行えなくなってしまうのではないでしょうか?
そもそも、患者が治療を受けない場合、病院にこない場合、介入すべきなのか?
透析の延命治療としての議論は、論点をあげれば堂々めぐりになる議論でもあります。
ストレスに強い人もいれば、弱い人もいます。
この問題には多様な価値観があり、意見がまとまるはずはありません。
どちらにしろ反対意見はでるのです。
どうにかして決めるしかありません。
それをするのが、政治家、官僚の仕事です。